令和2年7月より、比叡山延暦寺大霊園園長に着任した延暦寺一山 寂光院 住職 小堀 光實でございます。
天台宗総本山比叡山延暦寺は、ここ延暦寺大霊園に奉祀される数多(あまた)のご霊位が永く安んじて頂くため、伝教大師最澄さまが謳(うた)いのこされた、「明きらけく のちの仏の御代までも 光つたえよ 法のともし火」のお歌とお燈火そして御心をそのままに、ご霊位へのお勤めとお守りをさせて頂いています。

比叡山延暦寺大霊園 園長 延暦寺一山 寂光院 住職 小堀 光實写真

伝教大師さまが灯されたお燈火は今も尚、延暦寺の僧侶により大切に守り灯し続けられています。正に伝教大師のみ教えが込められた心そのものであり、古くから比叡山延暦寺の坊様がそうなさってこられたように、お歌の通りにこれからも「のちの仏の御代まで」灯し続け、守り伝えて参らねばなりません。もちろん、そこには多くの苦労や努力があるのは言うまでもありません。

比叡山延暦寺大霊園 園長 延暦寺一山 寂光院 住職 小堀 光實、掛員 櫻井 行尚読経写真2

このようなお燈火はそれぞれ皆様のご家庭にも、きっと有る筈です。ただ、そのお燈火は直接目に見えるものではないかもしれません。伝教大師さまのお燈火が教えのともし火、お明かりであるように、皆様のご家庭にも「こうすれば良い、こうしては駄目。」といった約束ごとや決まりが代々受け継がれていることがあると思います。それが法であり、教えであって、ご家庭の中の大切に守り伝えられている伝統であり歴史のお燈火だと言えるでしょう。
しかしどうも最近思うにはそれぞれご家庭のお燈火が消えかけているのではないかと思えてなりません。
伝教大師さまのお燈火は自然に灯っているのではなく、菜種油と灯芯で灯っています。つまり油を注ぎ、灯芯の燃えかすを取り除くことをし続けなければなりません。私たちはこの世に生を受けてから独りでに大きくなるのではありませんね。

比叡山延暦寺大霊園 園長 延暦寺一山 寂光院 住職 小堀 光實、掛員 櫻井 行尚読経写真

「愛情」という「油」を注がれ、母乳を飲み、オムツを替える手間などを頂いて育つのです。住む家がいくら立派な建物でも、住む人の体格、風格がたとえ頼もしくてもその中のお燈火が消えていては真の喜びが続いていく筈がありません。過日、私ども延暦寺大霊園で、お施主様ご当家のご先祖さま二霊位の百回忌御正当、五十回忌御正当一霊位の法会を願われお勤めを致しました。ご参列の方々は三十代から七十代の年齢、男女八名さまで、落ち着いたスーツなどの装いで正しく御霊位に対する丁重さ、且つ懇(ねんごろ)さが伺えました。

お勤め後、お施主さま始め皆さまに「今日、年忌法会をなされた御霊位の方々をご存知なのですか?」と尋ねますと、霊位は曾祖父、その兄弟とその娘。その娘であるのが私たちの母で、今日参っているのは従妹(いとこ)たち。互いに霊位とのつながりは承知しているが、母親以外、出会った事はない、とのことでしたが、その内、穏やかにそうお話しされる皆さまのお顔が仏様のように見えてなりませんで、有難くも私までもがホッとする温かな心を分けて頂きました。正にご先祖さまを敬い故人を偲ぶことの尊さは、忘れかけた安心(あんじん)を、思い起こさせることを確信した次第です。
皆さまのご家庭のお燈火は普段見えないのかもしれませんが、それでもご先祖さま方が眠られるここ延暦寺大霊園は、お参りされるすべての人のお心に、間違いなく温かな心を目覚めさせてくれる尊い園であるといえましょう。

比叡山延暦寺大霊園 園長 小堀 光實、執事補 櫻井 行尚、係員 大坂 寛真集合写真
護りびと紹介 比叡山延暦寺大霊園園長 延暦寺一山 寂光院 住職 小堀 光實